PROLOGUE
素材戦略部では、機能性食品素材を扱っている原料メーカー・食品メーカーのBtoB領域における事業推進支援を行っています。全体の事業戦略、マーケティング戦略を踏まえたBtoB戦略、営業戦略・計画を設計し、実際にリレーションのある食品メーカー・流通へ営業活動まで行い、商品への採用に繋げるBtoB領域全体のビジネスサポートを行っていく部署です。
そのなか、本プロジェクトは、まさに機能性素材BtoBtoCマーケティング戦略を活かした取組みになります。
インテグレートの機能性素材BtoBtoCマーケティング戦略
機能性食品素材に関するクライアントからのインテグレートへのご相談は、大きく2パターンに分けられます。1つ目は、すでに食品素材を取り扱っているが売行きに課題があり、改めて事業成長させたいというご相談。2つ目は、新しく食分野に参入をしたいというご相談。これはもともと別事業を主に展開している中、新たな企業成長に向け食分野への参入を検討しているが社内で経験・知見がないためインテグレートに事業共創を依頼するケースです。本プロジェクトは、後者の依頼でした。
本プロジェクトは、食(機能性食品素材)分野への参入に向けての協力依頼。しかし、クライアント側も新たな取組であったため経験やノウハウがない中でのスタートでした。そんな中、プロジェクトの要となったのが、クライアントと共にこれからの市場創造に向けて用いた戦略である機能性素材BtoBtoCマーケティング戦略でした。
機能性素材BtoBtoCマーケティング戦略とは、「素材(原料)ベースのマーケティングストーリーを開発し、PRにより市場創造する」取組みです。素材メーカーが直接生活者へその素材の価値となるメッセージ・ストーリーを届けることで認知・理解を図ると共に、採用された食品メーカーの商品でも同様のメッセージを訴求することで、生活者へ統一したメッセージとコミュニケーションを図り、その素材のブランド価値向上と市場定着、拡大に繋げる戦略です。
機能性素材BtoBtoCマーケティング戦略は、弊社CEO藤田がキシリトールを仕掛けた時の戦略そのものでした。本プロジェクトがスタートした時期のインテグレートでは、そこまで機能性素材案件は多くなかったが、同時期に機能性表示食品制度のスタートもあり、各企業がウェルネスに対する取組み意欲が高まりインテグレートへの問合せも増加。その背景も踏まえ、このタイミングを元にインテグレートの真骨頂の一つである機能性素材BtoBtoCマーケティング戦略を改めて強化していくことにつながりました。
素材マーケティングと商品マーケティングを繋ぐBtoB素材営業支援
本プロジェクトで扱った食品素材は、当時から世界のサイエンス領域でも研究が進み注目が高まるテーマに対し、その解決により寄与するように品種改良された食品素材で日本では初めて展開される素材でした。
私達は、この素材の市場創造に向け、機能性素材BtoBtoCマーケティング戦略を実行するために、事業戦略、コミュニケーションストーリー策定、エビデンス開発、PR(toC、toB
)、BtoBビジネス/営業支援の領域の担当を設置。様々な部署を巻き込んだ横断型のプロジェクトとしメンバー全員で日々議論、連携強化を図り実施しました。私は、このプロジェクトの中で、主にBtoBビジネス/営業支援領域と、このクライアントとの全体におけるメイン担当を担いました。
素材メーカーが食品メーカーへ営業する際、どうしても価格とスペックの比較勝負になり、よっぽどの差別性がない限り採用されるのは難しい状況です。ただし、食品メーカー側の商品検討に向けての重要な部署はマーケティング部や事業部が担っています。彼らの視点は価格やスペックではなく、生活者のニーズや今後この素材が受け入れられる市場がどう創造されるのか。つまり商品化した際に売れる環境にあるのかが重要な判断軸です。
インテグレートは、マーケティングの会社です。このマーケティング視点を元に、コミュニケーションストーリー/メッセージを開発。さらには各専門家と連携し研究機関を設置し裏付けとなるハードエビデンス・ソフトエビデンスを取得。そしてこれらをベースに生活者に届ける為のPRコンテンツを作成しメディアへのPR活動を実施しました。それと合わせ、重要になってくるのが、実際に素材を採用してもらう食品メーカーへこの情報を直接届け、素材に対する興味・関心、今後の市場創造に向けての期待感を持ってもらうことでの商品化の実現と商品側からも統一したメッセージで訴求してもらうこと。この役割を私がインテグレートとしての客観的立場とクライアントの営業担当という両側面を持ちながら、複数の食品メーカー、流通への直接営業商談活動を実施しました。
クライアントの一員。そして共創パートナーへ
プロジェクトチーム全員で連携し取り組んでいる中、本素材に大きな転機が訪れます。
それが、ちょうど秋の食品メーカーの商品化検討タイミングで大型テレビ番組に紹介されたことです。もちろん、インテグレートのエグゼキューションを担うメンバーが番組へ企画提案し決めてくれました。
その反響は大きく、一部流通ECだけで販売していた商品は数分で在庫がなくなり、私の携帯へは、流通担当者、食品メーカーから反響の凄さに対する電話が殺到しました。
この番組やPR活動が後押しになり、ある食品メーカーでは急遽3ヵ月で新商品化へ動き、一部流通では、注力素材に位置付けて頂き、様々なメーカーを集め商品化を促し、翌年春に売場での特別フェアの開催にまでつながりました。
まさに、機能性素材BtoBtoCマーケティング戦略として、対toC(生活者)、対toB(食品メーカー、流通)が立体的に統合され市場創造された瞬間でした。
しかし、同時に大きな課題に直面します。素材への引き合い、需要が高まったことで、供給原料が足りなくなったのです。元々決まっていた原料元からの日本への供給量を途中段階で4倍に増やしたが追いつかず海外の原料元から無くなってしまったのです。それにより、販売中の商品は一時発売中止となり、新商品の開発もストップ。食品業界内でも「原料がない」と広まっていき、一過性の盛上りで終わってしまう可能性が出てきてしまいました。
私達インテグレート、そして素材戦略部は、クライアントのBtoB事業の成功に向けて共創しています。その為、「一過性の売り」では終われません。
そこで私達は、クライアントと一緒に食品メーカー、流通へ訪問し状況報告、今後の供給予定、また、商品再開、新商品発売時に向けてよりPR強化を図る旨を示しメーカー、流通の気持ちが離れないようにクライアントの一員となり取り組みました。その結果、今でも本プロジェクトから生まれた商品は売れ続け、多くの商品に採用され生活者に行きわたっています。
このようにプロジェクトを進めていけるのは、インテグレート、そして社員皆が日々変化する世の中・トレンド動向、専門領域への知見を貯める努力をし、その各人が有している専門性を融合し部署、年齢隔たりなく連携を図っていけることにあると思います。
また、私はクライアントの一員という意識を常に大切にしています。
クライアントの大切な素材、そして営業という大切な役割を担わせて頂いています。だからこそ、本気で向き合い、考え、そして少し先の目線を示しクライアントを少しでも成功へ導くことのできる共創パートナーでいたいと思っております。このような専門性と大切な想いを持ちクライアントとプロジェクトメンバーと多くの時間を共に過ごしたからこそ成功できた事例といえるのではないでしょうか。